注目キーワード

菊地信介/Shinsuke KIKUCHI
造形作家・もも猫工房-さまざまな廃材用い立体を制作-
Monthly Gallery Art Movie Vol.16

YouTubeにて動画も公開中 https://youtu.be/zWIc5aclUAo

 茨城県高萩市の田園地帯に作家のアトリエは在った。二階に上がると天井の高い、広い空間。だが広さはさして感じない。梁に電線が縦横に走り金網が吊るされ、用途の知れぬ金具やカップ麺・ドリンク剤などの空き容器までが空間を埋め尽くす。アトリエ自体が作品のようでもあるし、得体の知れぬ生物の体内に入り込んだようでもある。 廃材や電線、機械の部品、果ては松ぼっくりなどの自然物まで、ありとあらゆる素材を駆使して立体を生み出す。造形には独特のユーモアセンスが光る。だがじっと見つめていると不可思議な詩情も湧き上がってくる。素材同様、重層的なイメージを喚起する作品群だ。 出発は油絵だった。愛知県立芸術大学で油画を専攻、卒業後も10年近くタブローと取り組んできた。試行のなかで廃材を使った立体を手掛けてみた。

「こうした仕事はものそのものが顕れてくるわけですから、それを工芸的にきれいに磨き上げるとか、或いは実物をそのまま出して絡め手から魅力を演出していくとか、堂々巡りをしていたハードルを簡単に超えることができたんですね」 当初スチームパンク的な作品を多く手掛けてきたが、近作を「生け花のようだ」と言われたことがあるという。「西洋流の文化を追いかけていたのがいつの間にか自分の背中―日本人である自分の文化に辿り着いていたようなところがあります」 「いまが絶好調です。

人生の中で一番いい仕事ができています。もう20~30年身体の続く限りいけそうです」-作家の長い射程を十全に作品化するには、まだまだ長い時間が必要なようだ。