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津田友子/Tomoko TSUDA
3つの道を行く、陶芸の旅人
Monthly Gallery Art Movie Vol.15

YouTubeにて動画も公開中 https://youtu.be/_mEYndT1Bq8

「自分の手でモノを作りあげ、モノを通じて人に感動を与えたい。自分の仕事を形で伝えたい」。若き津田道子は、1997年、楽焼の三代目・吉村楽入の門を叩いた。それから20余年の歳月が流れ、津田は2019年11月の個展「津田友子展 鎮守の森」(東京・青山 白白庵)で楽焼の茶碗、食器、オブジェと3つの異なる作陶を展示した。

 同じ陶芸家の作品であっても、この3つには大きな違いがある。津田はこの展開に対して「私が一番気を付けなくてはいけないと思っているのは、絶対、仕事を混ぜないこと」だとはっきりと語る。

「楽の茶道具の仕事と、食器の仕事は用の美で、同じように見えるんですけど、良しとされるデザインが全然違う、例えば楽焼でよく言われるのは、女性が年月を経て、少し落ちてきたような、その姿が美しい。だから丸くて動きがあるように見えつつも、しっかり落ち着いたような様。反対に食器の方は凛として、筋肉もキュッとしまって、張りのあるような女性の若いシルエット、そういうものを想像しながら作っているので、絶対に一緒の時期に仕事をしないようにしています。楽の仕事の窯がひとつ終わった後に、次は食器の仕事をしよう、というように。またこのガ-ディアン(オブジェ)の仕事は、ふたつとはまたまったく違う感じですけどね」  

 津田友子は楽焼の茶道具という伝統的な陶芸と、現代人の生活に直結する食器、そして自分の思いを形にしたいというオブジェの作品、この3つの道をそれぞれに精力的に歩んでいる。  楽焼に関しては「お茶道具の仕事は、自分というよりは、実際にお茶室で親碗を使う方をいかに美しく見せて上げるかという、そういうことを重視して作ります。その方のお茶室で使う手の所作、口に運んだ時の口当たり、口に当てられた時のその方の姿、それがいかに美しくしてあげられるか。いつもそういうことを考えながら作っています。楽の器というのは使えば使って頂くほど、茶碗自身に御抹茶が浸透していって、どんどん出来上がった時よりも渋さが増していく、使う方に育てて頂くお茶碗にしたいというので、土は急熱急冷に耐えられるような比重のとても軽い素材で、作り上げています」

  そして食器になると津田は、やや不安定なラグジュアリーのような形の食器を作る。これは多忙な生活をしている人たちに、大切な食事の時間を緊張感のある時間にしてもらいたいという思いからだ。「わずかな時間でも背筋をスッと伸ばして、美味しいものをじっくり味わいながら食べて飲んでいただきたい、そういう意味も込めて、わざと不安定だったり、割れそうだったりみたいなことにしています」という。

 用の美の楽焼も食器も、津田は使う人への愛情ともいえる心遣いで制作していることが分かる。そうした他人への思いとは反対に、自分の思いを形にしたいという気持ちがオブジェの作品制作に向かわせた。きっかけは走泥社の同人として活動した陶芸家の寄神宗美との出会いからだった。「自分とは別世界の方だなあと思いながら、先生の仕事への心向き、制作に対する考えを聞いていると、モノを創るということはこんなに楽しいものなんだ、もっと自分の思いを自由に出していいんだということを初めて知りました」と、新しい道が拓けた。その自由な作品は昨年にやっと発表できる内容のものが出来たという。今回の個展は、3つの道がいよいよ形となって表れる展覧会となる、記念すべき第一歩でもある。