澤登恭子/Kyoko SAWANOBORI
アーティスト -映像&インスタレーション&パフォーマンス-
Monthly Gallery Art Movie Vol.14

YouTbeにて動画公開中 /LCDwpWgFK9E

 映像、インスタレーション、パフォーマンスを、同一空間で発表しているアーティストの澤登恭子が、東京・四谷のTS4321で個展「Träumerei-夕べの夢想」を行った。澤登の作品は、自ら制作した映像を背景に、インスタレーションの展示を行い、それに加えパフォーマンスも見せるという総合的な発表で、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリア等多数の国々で国際的な展開を行っている。 

「TS4321では、白い壁があるので、夜の遊園地のメリーゴーランドと、観覧車の窓からの夜景の映像を投影しました。私の場合は映像そのものを壁に投影するのではなく、透過性の高いガラス・オーガンジーの布を介して、後ろの白い壁に映るのと、ガラス質のオーガンジーが映像を反射するという形になります。その映像は、夜の遊園地なんですけど、宇部市の常盤ミュージアムの敷地内にある小さな遊園地の冬の風景です。宇部市というのは炭鉱で非常に栄えた町なんですけど、今、その炭鉱も無くなって、人口も減少し寂れてきています。その遊園地は年末年始になると、手作り感のあるライトアップがなされるんです。だけど都会の洗練された遊園地と違って、素敵な計算された光ではなく、割とゴチャゴチャしていて毒々しいところなんです。光だけは頑張っているんですけど、よく見ると、お客さんというのはほとんど見えない。光が毒々しい中で、メリーゴ-ランドとか、観覧車が回っていて、まったく人の映らない遊園地が、映像の舞台になっています。夜中に光だけが光っていると、昼間の風景と違って、かなり、必要な細かいものが見えなくなってきて、毒々しい光だけが強く現れてくるんです。それは、なんとなく人の記憶に対する、勝手さとか、いい加減さと似ています。人の記憶は自分に必要なものだけがキラキラと過去の記憶として残っていたりして、自分の中でいいように編集されている。キラキラしたものだけが残っている。まったく人のいないところで、ただグルグル回っているその状態というのが、人間の記憶が巡っている状態に似ているような気がして、それとリンクさせた意味合いで展示ができたらいいのかなと思っていますね」  

この作品のコンセプトについて聞くと、 「私の場合は女性性がテーマになっています。宇部市の過疎化に対して強くメッセージを送りたいというより、私の中のコンセプトのもとになっているのは女性性で、少女が大人になる過程で、その記憶が自分の中で勝手な解釈が行われたりする異様さであるとか、不思議さであるとか、そういうものをテーマにしています。個人的な記憶を、たまたま過疎化している寂れた町の夜景を使っているということです」  東京藝術大学の油画科に在学中、榎倉康二のゼミで、1分間の映像で自分を語るという出題をされて以来、映像を使った制作の面白さを知った澤登は、依頼、代表作の「Honey, Beauty and Tasty」を始め、映像を使った作品を制作し続け、一貫して女性性をテーマにさまざまな作品を発表してきた。

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