注目キーワード

栗原針山/Shinzan KURIHARA
アーティストの現場より7
作品の在り方と共通した自分自身の生き方を実践するアトリエ
Monthly Gallery Art Movie Vol.13

Full Ver.はこちらからhttps://youtu.be/08udXRLDIHk

 静岡市葵区の栗原針山のアトリエは、静岡の市街地を抜けて川沿いに向かうと、そこは山村風景のような自然に囲まれた環境に急変する。静かに仕事を進めるにはふさわしい空気に包まれている。栗山は東京の自宅から離れて、書の制作のためにこの地にたどり着いた。

「制作に入ると、一歩も外に出ないで、夜も昼もなく制作に打ち込むので、ここはそのための場所としてふさわしい所です」

 個展の前になると、ここですべての関係を遮断して、制作に没頭する。こうした場所をアトリエとしているが、近くの住人との交流はどうなのなかというと、コミュニケーションがしっかりと存在している。社会から離れて独居ということではなく、近所の農家の人たちが野菜などを届けてくれるという。

 栗原の書は、既存の書家とはやや異なり、文字の根源の意味を深く研究し、そして作品によって人の心に訴えるような造形を考えた作品を制作している。人の苦しみや悩みが、その作品を観ることによって救われるようなメッセージを投げ掛けようとしている。書かれる文字も、そうした観点から選ばれている。そうした作品の在り方を考えると、静岡での栗原の生活は、作品の持つ世界と共通した自分自身の生き方を実践しているように思える。

 個展(栗原針山個展 11/ 26日→12/7 ストライプハウス美術館<六本木>)を前にした緊張した時期に訪ねたが、さすがに書を書いている光景を見ることはできなかった。制作風景を取材されるということは、緊張感のない偽りの姿を見せることになるからだろう。

 墨の温度管理のために、ワインクーラーの中に墨が入れてあり、さまざまな筆などが用意されていた。大作を画く部屋、小品を画く部屋にそれぞれ分かれていて、展覧会のための最後の制作に余念がないように見えた。